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姫路城「二重価格」1カ月を経て ― 入城者2割減でも収入は“倍増”

世界遺産・姫路城が「二重価格」を導入して1カ月、入城者数が前年比約17%減少した一方で、料金収入は約2億7000万円と前年同期の2倍以上に達した。市外・海外客の料金を1,000円から2,500円に引き上げた結果、混雑緩和(オーバーツーリズム対策)と、今後10年で280億円必要とされる保存修理費の確保を同時に実現。この「成功事例」を受け、他自治体からの視察が相次いでおり、日本の観光地経営の転換点となっている。

~「産経新聞」より引用


みなさま ごきげんよう!福山ですᝰ✍︎

先週は雄大な富士山に見守られながら、新しい一歩を踏み出すホテリエのみなさまとたくさん学びました。「たのしかった」といってもらえると、とてもうれしくだいすき!な気持ちがあふれますね。
きょう(4/13)からホテリエの卵である専門学校生への講義がはじまります。この業界がとっても魅力的で働く価値がある場所だと、しっかり伝えていきたいです。

今回の記事は、X(旧Twitter)で話題になっていた「観光地の二重価格」についてです。肯定的な意見がおおく見受けられたのと、なるほどという考察もあったのでぜひ検索してみてください。


●オペレーターがこの記事から得られるヒント

  1. 「価格の正当性」を語るストーリーを持つ
    「高い」と言われたときに、「このお金は姫路城の100年後の修繕に使われます」と胸を張って言えるか。フロントや現場でも、地域の保全活動について語れるようになると、ゲストの納得感(満足度)は変わる。
  2. “地元還元”を宿泊プランに組み込む
    地域の資産が守られることで、宿泊業も潤う。例えば「入城料の差額分を、地域の伝統工芸の保護に寄付する」といった寄付金付きプランを作るなど、宿として地域のサステナビリティを支援する姿勢を打ち出そう。
  3. 「市民無料」が育むシビックプライド
    18歳未満を無料、市民を据え置きにすることで、地元の子供たちが自分の街の宝物に触れる機会を守っている。宿としても、地元の人に向けた特別なプランや開放日を設けることが、結果として「地域に愛され、守られる宿」となる近道に。
  4. レベニュー管理の視点を「地域」で持つ
    ホテル単体のADRだけでなく、地域全体の「観光単価」を上げるにはどうすればいいか? 近隣の観光施設と協力して、適切な価格設定や特典の付け方を議論するきっかけにしよう。
Geminiサポート

・結局、二重価格は「成功」なのか
数字で見れば大成功と言える
生産性: 少ない客数(=現場負荷の軽減)で、より多くの利益を得ている。
資源保護: 人が減ることで建物へのダメージも抑えられる。
持続性: 増収分の1.4億円(単月差額)をそのまま修理費に回せる。

・日本で二重価格を導入(検討)している場所
ジャングリア:「日本国内在住者」の割引設定がある
国営沖縄記念公園(首里城公園など): 沖縄県民向けに割引や無料の日が設定されている
金閣寺・銀閣寺(京都): 拝観料そのものは一律が多いけれど、京都市民向けに特定の期間やイベントで優遇がある場合がある
飲食店(豊洲・ニセコ): 最近話題の「インバウンド丼」のように、実質的にメニューやサービスを分けて対応するケースも出始めている

・海外の二重価格事情
海外では、公的な施設だけでなく民間でも「居住者(Resident)」と「旅行者(Tourist)」の価格差は常識。
タイ(王宮やワット・ポーなどの寺院):タイ人は無料、外国人は数百バーツという設定が一般的
インド(タージ・マハル):インド人は約50円、外国人は約2,000円と、なんと40倍近い差がある場所も
エジプト(ピラミッドなど):国籍(居住国)によって明確にチケット窓口が分かれている
ヨルダン(ペトラ遺跡): 日帰り観光客は約11,000円、宿泊客(国内に金を落とす人)は約10,000円、自国民は約100円
欧州(ベネチア): 入域税の導入など、観光客のみに課金する仕組みが加速している

→「観光客に応分の負担を求める」のは、世界ではもはやグローバルスタンダードといえる

・宿泊業界への波及効果
二重価格が浸透すると、ホテルも「日本人(地元)限定プラン」をより堂々と、かつ戦略的に出せるようになる。
「観光客からはしっかり収益を得て、地元の人には愛され続ける」という、観光・宿泊業の理想とする「働いてよし・住んでよし・訪れてよし」の三方良しが加速する


「高すぎる」という声も一部にはあるようですが、ドイツ人観光客の「文化財の維持にお金がかかるのは当然」という言葉には救われますね。文化遺産がたくさん残る地域のみなさまからは、一定数賛同をもらえるのだとおもいます。
また、入城者が2割減ったということは、現場で働く人たちにとっては「一人ひとりに向き合える時間が増えた」ということでもあるとかんがえます。ただ安売りして人を詰め込むのではなく、価値を認めてくれる人に最高の状態で届け、その収益を未来の保存に回す。この「循環」こそが、宿泊業や地域が目指すべき健全な姿であると、あらためて勇気をもらいました。

たいせつな「おもてなし」を利用されてしまうのであれば、わたしたちは「ホスピタリティ」と「サービス」を磨いていくしかないとかんじます。もっと「わたしたち」がすきなことをすきなひとにできる世界にしてきたいです+*

執筆者
福山 千尋 (ふくやま ちひろ)

コーディネーター