Industry News 宿屋業界ニュース

ヒルトン、宮島対岸に最高級ブランド「LXR」を開業へ 日本のラグジュアリー戦略を加速

米ホテル大手のHiltonは、広島県宮島の対岸に、最高級ブランド「LXR Hotels & Resorts」の「Umiuta Hiroshima, LXR Hotels & Resorts」を2028年に開業すると発表し、起工式を実施した。ホテルは地上7階・地下1階、全61室で、全客室から瀬戸内海を望むオーシャンビューを備える。館内にはレストラン、バー、屋内プール、スパを設け、国内外の富裕層を主要ターゲットとする。建設地はひろぎんホールディングス傘下の広島銀行保養所跡地であり、インバウンド需要の拡大を背景に、広島・瀬戸内エリアの高付加価値観光の強化を目指す。
~「nikkei.com」より引用


今回の計画は、単なるホテル開業ではなく、瀬戸内エリアが世界のラグジュアリー・デスティネーションとして評価され始めていることを象徴する動きである。全61室という小規模な客室数は、稼働率よりもADR(平均客室単価)や滞在価値を重視するラグジュアリーホテルの戦略そのものであり、地域全体の観光消費額の押し上げが期待される。

また、ヒルトンは2027年に雅叙園東京 LXRホテルズ&リゾーツ、今回発表した宮島への進出など、日本におけるLXRブランドの展開を加速させている。都市型とリゾート型の両軸でブランドを育成する戦略が鮮明になっており、日本を重要市場と位置付けていることがうかがえる。

日本の宿泊市場は、客室数の拡大ではなく、高単価・高付加価値へと競争の軸が移りつつある。今後は地域固有の景観や文化、食と結びついた体験価値を提供できるホテルが、インバウンド市場をリードする存在となるだろう。今回のプロジェクトは、地方観光が「観光客数」から「観光消費額」と「滞在価値」を重視する時代への転換を象徴する事例として注目される。

執筆者
植田 慶典 (うえだ よしのり)

ディレクター