Industry News 宿屋業界ニュース

2026年「新しい旅行の方程式」 ― AIを活用する旅人の最新トレンドと、国籍で激変する“お金の使い道”

Mastercard経済研究所が「トラベルトレンド2026」を発表した。地政学リスクや為替変動が世界を揺るがす中、旅行市場は「適応力」を武器に成長を続けている。大きなトレンドとして、AIプラットフォームのサブスク契約者は一般層に比べ宿泊(ホテル)への支出割合が約2倍と高く、穴場の観光地(隠れた名所)を選ぶ傾向が判明した。また、出張(ビジネス)需要の回復や、移動自体を楽しむ「高級列車旅」のブーム、さらに訪日客の国籍による消費パターンの明確な違いがデータで浮き彫りとなった。

~「MasterCard」より引用


みなさま ごきげんよう!福山ですᝰ✍︎

5月で20度台の気温があたりまえになってしまい、この夏もきびしい暑さがつづくことに意味もなく憂いています。暑さに慣れていない身体を十分労わりながら、夏に向けて準備していきましょう…!

今回の記事は、帝国ホテルの建て替え延期の話題にしようかとおもったのですが、かなり優秀なまとめ記事がたくさんでていたので見送り、中東問題に触れつつもよいヒントが得られそうなMasterCardの発表をピックアップしました。


●オペレーターがこの記事から得られるヒント

  1. 「国籍別の消費特性」を館内導線に活かす
    レポートによると、日本に来るシンガポール人は「小売(ショッピング)」にお金を使い、韓国人は「夜の街(バー)」、イギリス人は「JRなどの陸上交通(移動)」を重視している。
    これを現場に活かすなら、韓国人ゲストには周辺の素敵なバーマップを渡し、シンガポール人ゲストには地元のおすすめショップを案内するなど、フロントでの一言を変えるだけでゲストの満足度は跳ね上がるといえそう。
  2. 「AIに推薦されやすい情報」を発信する
    AIを使う旅人は、ありきたりなリゾートではなく、歴史や食文化が絡み合った「隠れた名所(Alternative destinations)」を好んで検索している。自社のSNSやブログでも、「〇〇(有名観光地)から一歩足を変えた、大人の隠れ家」のようなストーリー性のある言葉を使うことで、AIに拾われやすくなり、感度の高いゲストを呼び込める。
  3. 「移動(道中)」を楽しくする演出
    世界的に「列車旅」や「ラグジュアリーな移動」の価値が見直されている。宿に到着してからがサービスではなく、最寄り駅から宿までのアクセス(景色の良いルートやローカル線)の魅力を公式HPなどで丁寧に案内することで、旅の始まりからワクワクを演出できる。
Geminiサポート

・なぜ「AIを使っている人」だとカード会社にわかるのか
カード会社は「所持者がChatGPTで何を検索したか」は見られない。 でも、「ChatGPTの有料プラン(月額サブスク)」や「Google、その他のAIサービス」の料金をクレジットカードで支払っている履歴はシステムで自動的にカウントできる。 つまり、「AIサービスに定額課金しているアカウント(=AIサブスクライバー)」というグループをデータ上で作り、その人たちの旅行時の決済データを分析した。クレジットカード会社ならではの画期的な手法!

・ 日本はソウル(韓国)に負けている?MICEやIRの影響?
レポートでビジネス旅行(コーポレート)の復活やインド、アブダビなどのビジネスハブが注目されているけれど、「MICE」や「IR(カジノを含む統合型リゾート)」においては、確かに韓国は日本の一歩先を行っているのが現状。

  • MICE(国際会議や展示会): ソウルや釜山(プサン)は、国と市が一体となって巨大なコンベンションセンターを整備し、世界中のビジネスイベントを誘致する仕組みが日本より早く完成している。
  • IR: 韓国にはすでに外国人専用カジノを併設したリゾート(パラダイスシティなど)があり、ビジネスとエンタメの融合が進んでいる。
  • 日本の現在地: 日本も大阪のIR開業(2030年予定)に向けて動いていて、今回のカペラ京都のように「MICEに強い大型スクリーンを持った高級ホテル」が続々と建ち始めている。つまり、「今まさに、韓国に追いつけ追い越せで、ビジネスとリゾートの融合を仕掛けている最中」だから、悲観する必要は全くない!

・AIユーザーが「 accommodations(宿泊)」にお金をかけるロジック
レポートの図(波形グラフ)にあった、AIユーザーがホテルのシェア(お財布の割合)を高めている理由を構造化すると以下のように整理できる。

  • 体験投資( accommodations / クルーズ): 「どこに泊まるか」「どんな船旅にするか」は選択肢が無限にある。AIを使って徹底的に比較・検索することで、「多少高くても、自分の好みに100%マッチした最高のホテル」を見つけ出すことができる。結果として、宿泊に対する「納得の投資(Experimentation=実験・挑戦)」が増えて、ホテルの取り分(シェアオブウォレット)が倍増している。
  • 必要経費( groceries / レンタカー): どこで買っても同じ日用品や routine(ルーティン)の移動には、AIの知恵はあまり要らない。だから支出の割合は一般人と変わらない。

実は、このレポートが気になった理由にPHM Day6で登壇する原先生との会話があります。詳しい内容は講義と関連するので避けますが、まさにこのレポートと重なることが多くあり学びにつながりました。
国籍によって「シンガポール人は買い物・韓国人はナイトライフ・イギリス人は鉄道移動」に予算を割くという、興味深く具体的なデータは自分が現役だったらすぐに分析とヒアリングを実施したことでしょう。世界中の人が「日本」という一つの目的地の中で、全く違う楽しみ方をしてくれているのは、私たちの伸びしろそのものだとかんじました。
「ただゲストを待つ」のではなく、その人の国籍やライフスタイル(AIユーザーかどうかなど)にあわせて、宿での過ごし方を先回りして提案する。そんなデータに基づいた「スマートなおもてなし」がこれから求められるのだとおもいました。お客さまアンケートによくある「どの媒体を使いましたか?・どのように情報収集しましたか?」のような設問にも「AI検索」…もっといえば「Gemini,ChatGPT,Grok,Felo」など細分化させて選択肢を挙げてもいいかもしれませんね!*そこでどのように検索したら・されたらいいかを分析できるので

全人類が自分事で捉えなければならない、世界的なパンデミックを経て人間は「適応力」のベースがあがったのかなとかんじます。いまを分析して未来を予測し、そのときどのようなしあわせな体験をするかを想像し期待するお客さまに対して、できるかぎりの準備をしていきたいですね+*

執筆者
福山 千尋 (ふくやま ちひろ)

コーディネーター